備蓄米の抱き合わせ販売? そんなのダメダメ! なお放課後児童クラブ(学童保育所)の「抱き合わせ事業」、運営支援は賛成します。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたらSNSに投稿してください! 口コミ、拡散だけが頼みです!
 いまの日本社会、コメをめぐっての大騒動になっています。所管大臣が失言で事実上の更迭となり、次に農林水産大臣となった小泉進次郎氏はさっそく持ち味を発揮して相次いで予想の斜め上をいく方策をぶち上げています。その中でも「備蓄米を6月早々に2,000円で販売する」と大見えを切ったことには驚きましたが、参院選での壊滅的な敗北をなんとしてでも回避したいという政府与党、とりわけ公明党からの突き上げがあったのでしょう。主食であるコメの価格の安定、それも国民が安心して購入できる程度の安価での価格の安定は必要だと私は考えていますし、そのための国の施策は、自由経済社会であっても何かしら必要だとする立場です。コメ農家の所得補償はコメの販売価格と連動しない形で国が制度を整えればよい、例えば肥料代金や農作業器具の購入・修理費への補助を大幅に拡充(実質無償で利用できるようにする等)という考え方です。この、備蓄米2,000円販売に関する記事を切り口に、本日は運営支援ブログをお伝えします。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。) 

<余計なことは、せんでもいい>
 コメについてはまず石破茂総理が国会で3,000円台を打ち出しました(毎日新聞2025年5月21日18時54分最終配信記事「石破首相、コメ5キロ当たり「3000円台で」 価格目標値に初言及」)。このニュースに私(萩原)は、「参院選前に政府としては踏み込んだ発言だ」と感想を持ちました。
 しかしそれが5月23日になると2,000円になります。「台」ではなくて2,000円です。NHKが5月24日0時3分に配信した「小泉農相 備蓄米の店頭価格 随意契約で”5キロ2000円に”」の見出しの記事にはこうあります。
「小泉農林水産大臣は23日、NHKのニュースウオッチ9に出演し、随意契約での備蓄米の売り渡しについて「政府の新たな随意契約による備蓄米は5キロで2000円。2000円台ではなく2000円、こういった価格で売り渡しをしていきたい」などと述べ、精米や袋詰めなどのコストを上乗せしても店頭での価格が5キロで2000円になるよう売り渡し価格を設定する考えを明らかにしました。」(引用ここまで)

 突拍子もないセクシー発言などで何を言い出すか分からない危うさがある政治家ですが、この備蓄米2,000円は農水相だけの考えでできるはずもなく官邸主導で、「国民のコメへの不安を解消しないと選挙でぼろ負けするぞ」という議員や連立与党側の声でまとまったものでしょう。しかし、もちろん多くの国民が思っているでしょうが、「やれるなら、最初から、そうやってくれよ」、です。小出しにするなと。
(なお、農家や生産者側から、コメの価格を以前同様の水準に戻すのに強い反対の意思表示が出ていることがSNSからでもうかがえます。私は、消費者側の立場で、コメの最終価格は多くの国民が安心して買い求めることができる設定が必要だとしますが、それは生産者側に負担させることにはもちろん反対です。生産者側もしっかりと利益を出せる形でコメ農家を続けられる制度設計を、ぜひとも考えていただきたいと願っています。農家の大変さは、親類に農家もいましたのでごくわずかですが、感じるところを持っています)

 さてここまでは単なる前置き。この2,000円で売るぞと言った小泉農相は、楽天の三木谷浩史代表と事前に面会し、随意契約による小売販売に協力を求めていたのですね。会談後に報道陣の取材に応じた三木谷氏の発言が報道記事で伝えられていますので、引用して紹介します。ヤフーニュースに掲載されたTBSの5月23日12時52分配信の「楽天G三木谷社長が小泉農水大臣と面会 備蓄米の随意契約に参加の意向 5キロ2000円台実現に向け」との見出しの記事です。
「楽天の三木谷社長は午前、小泉農水大臣と面会し、備蓄米の流通に向け、随意契約に参加する意向を伝えました。自社のサイトで、精米器とセットでの販売などを検討しているということです。」(引用ここまで)

 この記事ですが、TBSテレビのニュースで放送されている映像も見ました。放送でも確かにアナウンサーが、玄米の精米機とセットで販売すると言い切っていました。

 思わず私は「いらんこと、すな!」とひとりでツッコミを入れました。まあ、全部が全部とは信じたくありませんが、備蓄米5キロだけ2,000円の商品は販売数が少なめで、残りは玄米の精米機とセットで5,000円から1万円近い販売(コメ部分だけでは確かに2,000円相当)にするのではなかろうかと、どうしても想像してしまうのです。

 こういうのを「蛇足」というのです。コメだけ販売すればよいのです。抱き合わせ販売・抱き合わせ商法は、愚の骨頂。抱き合わせ販売といえば、古くはファミリーコンピューター用ゲームソフト「ドラゴンクエストシリーズ」で、目に余るほどの抱き合わせ販売が行われて社会問題となりました。ウィキペディアにも掲載されています。その後も、前回の米騒動、つまり平成の米騒動(1993年)で、タイ米と国産米の抱き合わせが行われてこれも大問題となりました。いま20歳代の人はご存じないでしょうが、1993年は、スーパーマーケットで売っているコメが一時期、無くなりました。ただ当時はまだまだ数があった「お米屋さん」にはありました。ただしとても値段は高かった記憶があります。私はタイ米を買ってごく普通においしくいただきましたが。

 楽天さんね、商売上手なのは認めますし、私も楽天経済圏で助かっている者の1人です。なんていってもダイヤモンド会員ですから。楽天カードも楽天モバイルも使っていますよ。なので楽天で備蓄米を2,000円で売っていただけるなら喜んで買いますしポイントゲットだぜ!です。 ですが、つまらん抱き合わせ販売は、ただでさえ今一つ信頼性が確立しない楽天ブランドをさらに傷つけますよ。コメだけ、どかんと売ればいい。それができれば評判も信頼も上がるのです。単純なことをありのままにすることです。

<で、これが児童クラブとどう関係があるの?>
 お断りしておきますが、楽天のコメの抱き合わせ販売と児童クラブはまったく関係がありません。

 私が取り上げたいのは、児童クラブにおいて、複数の目的や事業を同時に行うことが「あっていいよね」ということです。つまり児童クラブの抱き合わせとは、「育成支援を重視した事業」と、「学習支援や才能伸長支援などプラスアルファの事業」の2つを、同じ事業者、同じ児童クラブで行うことです。私は、大いにあってよいと考えています。

 児童クラブにはいろいろなタイプがあります。事業の方針や、その方針を受けて行われる事業内容は千差万別です。放課後児童クラブ運営指針に記載されている育成支援を徹底的に重視する事業方針や内容の児童クラブがあれば、こどもの才能や成績を伸ばすこととを重点とした児童クラブだってあります。
 大雑把にいえば、地域に根差した児童クラブ、保護者運営あるいは保護者運営由来の法人の児童クラブは、育成支援を重視した児童クラブが目立ちますし、学習塾や英会話スクール、スポーツクラブが手掛ける児童クラブは当然、勉強や学習支援、スポーツなどを学ぶ、練習する時間が多い児童クラブです。とはいえ、非営利法人の児童クラブでも、お勉強重視のクラブがありますし、保護者運営のクラブでも「勉強をしっかりさせます」と掲げているクラブもあります。まあ、保護者の多くは得てして、児童クラブで過ごす時間でしっかり勉強してほしいわ、と思っていますが。

 私は、本来であれば、子育て世帯が、自らの選択で入所できる児童クラブが選択できるような社会を早く目指すべきだという考えを持っています。遊びを通じた人格形成の育成支援を重視するクラブがある、英会話に時間をさく児童クラブがある、費用はかかるけれども夜遅くまで過ごすことが可能で送迎もしてくれるクラブもある、それを必要に応じて子育て世帯が選べれば良いのです。しかしそれは現実的になかなか実現が難しい。圧倒的に多くの地域では、こどもの通う学校の学区内にある児童クラブに入所するしか選択肢が無い状況です。

 一方で、確実に、保護者またはこども自身の要望、リクエストがあります。親は学習時間の確保と学力向上を期待する向きが多いでしょう。親のこの意向をほぼ無視しているのが、今の多くの「育成支援重視の児童クラブ」です。育成支援重視は、それこそ「非認知能力向上」なので、長い目で見れば、決してこどもの不利にならないどころか、社会で活動するために必要な能力の伸長なので、単にテストの点を引き上げるとか偏差値を上げるなどよりよっぽど大事なことだと私は思うのですが、保護者の「やっぱりお勉強をもうちょっと頑張ってほしい」という要望は、まったく耳を傾けないのは、それはどうかとも考えます。納税者であり、親権のある者の意向はしっかりとくみ取るべきです。

 そして最も重要と考えることは、世帯の経済格差の進行による学習機会の喪失が広がっている恐れがあるので、児童クラブにおける「学習の機会の提供」が、児童福祉の観点から必要だということです。所得が少なく生活が厳しい子育て世帯では、何かと余裕が無くて、勉強の機会、勉強の時間に事欠くということが伝えられています。心理的な余裕がないこともあるでしょう。所得が低い世帯の全てがそうだとは言いませんが傾向としては間違いなく、所得が引く世帯のこどもは児童クラブから帰宅した後にゆっくり宿題、宿題プラスアルファの勉強ができるかと言えば、そうではないと私は感じています。まして高学年になってぼちぼち学習塾に行くこどもが増えていく年齢にさしかかっても、月に5~6万円はかかる学習塾に通わせられないという低所得世帯は確実にあります。

 であればこそ、児童クラブで、もうちょっと勉強時間を確保したっていいんじゃないの?というのが、運営支援の考えです。そこで「抱き合わせ」なのです。

<レッツ抱き合わせ!>
 児童クラブは、通常の育成支援としての受け入れ以外に、学習支援コース(英会話だって漢字だってダンスだって構わないのですが)のような特別プログラムを準備し、保護者(保護者はこどもから考えをしっかり聞くことが前提)に選択してもらいます。特別プログラムといっても、育成支援の基本的な理念からは逸脱しない、こどもの自主性をはぐくむ時間は週のうち数日はしっかり確保します。そのうえで、別途、追加料金をお支払いいただくことにはなるでしょうが、保護者やこどもの要望を一定程度は反映できる特別プログラムを、別室や別の場所で実施するということです。

 「そんな場所や人員はいない。無理。以上」で済ませるならそれはそれでよいでしょう。ただし、現状に甘んじるものは、困難を乗り越えてでも新たな世界を見出したものに、負けます。まして、育成支援への理解と共感の不足という残念な現実から「こどもにはとにかく勉強、体験。それでこそこどもは豊かな時間を過ごせる」という残念な誤解に基づいた子育て(支援)観が標準化してしまっている今の日本社会においては、一見するとその残念な子育て観に同調するふりをしながらも根底では本質を忘れないでこどもへの支援を行うという、児童クラブの特別プログラムこそ、言葉だけの「豊かな放課後」で苦しみがちなこどもたちに、ほっとできる時間をもたらすことができるのではと、運営支援は考えるのですね。

 これはつまり、今すでに、ガンガンと勉強やスポーツを教え込んでいる形態の児童クラブであれば、「週に1~2日、数時間は、こどもたちが自分たちですべてを選択できる時間」を設けることで育成支援のスタンスに歩み寄れることになります。こどもの非認知能力を少しでも伸ばすためには、それもまた歓迎するべきことです。

 育成支援による「非認知能力の伸長」と、学習支援や才能伸長支援による「認知能力の伸長」の「抱き合わせ」こそ、選択肢の持てない地域に住んでいる子育て世帯からの理解と支持と共感を児童クラブが得られる、有効な手段です。地域の子育て世帯からの支援が厚い児童クラブ事業者は、その地で生き残れる可能性が高まります。

 抱き合わせこそ、児童クラブが生き残る1つの方策であると、運営支援は考えるのですね。レッツ抱き合わせ! そして抱き合わせ事業を安心して実施できるには事業者の規模が大きくなることが必要です。地域に根差している小さな児童クラブは生き残ることこそ唯一の最善の選択と考え、そのためにどんどんと同じスタンスの児童クラブと合流合体して1つの事業者となって、抱き合わせ事業あるいは完全に別業態のこどもの居場所を設置するなどして、こどもと保護者の選択肢を増やすことを目指しましょう。 

<PR>※お時間のある時に、目を通していただければ幸いです。
 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)